実家の古いアルバムから考える「家族の記憶」の残し方について

1.写真は、どこまで減らしていいのだろう
2.なぜ、心が疲れた時に古いアルバムを見たくなるのだろう
3.写真は多ければ多いほどいいのでしょうか
4.アルバムの減量は、記憶の「引き算」ではない
5.「もう、このアルバム捨てていいよ」と親に言われたら
6.そもそも、家族写真は誰のものなのだろう
7.親の終活と、子どもの「残してほしい」がぶつかる時
8.写真整理とは「何を捨てるか」ではなく、「何を渡すか」
9.写真は、減らした後から再び「生きはじめる」ことがある
10.私たちが残したいのは、「見返せる家族の歴史」です

写真は、どこまで減らしていいのだろう
実家の押し入れから、古いアルバムが何冊も出てきた。
重い。
場所を取る。
何年も開いていない。
「そろそろ整理しなくては」と思う。
けれど、いざ捨てようとすると、手が止まる。
不思議なものです。
普段は存在さえ忘れていたアルバムなのに、一枚写真を見るだけで、「あ、この服覚えてる」、「この家、懐かしいな」、「お父さん、こんなに若かったんだ」と、次々に記憶がよみがえってくる。
だから、写真整理は難しい。
これは単なる「片付け」の問題ではないのかもしれません。
今回は、私たちにとって、本当に心地よい「思い出の量」とはどのくらいなのか。少し考えてみたいと思います。

なぜ、心が疲れた時に古いアルバムを見たくなるのだろう
スマートフォンの中には、何千枚、何万枚もの写真があります。
・昨日食べた料理。
・旅行。
・満開の桜。
・子ども。
・孫。
・ペット。
何でも入っています。
それなのに、ふと昔を振り返りたくなった時、見たくなるのはスマートフォンのカメラロールではなく、実家の押し入れにある古いアルバム。
そんな経験はないでしょうか。
そこにある写真は、決して上手な写真ばかりではありません。
ピンぼけしていたり、誰かが目をつぶっていたり、色あせていたり。
それでも、一枚の写真から、その時住んでいた家、部屋の匂い、着ていた服、一緒にいた人、その日の出来事。
さまざまな記憶が連鎖するようによみがえることがあります。
心理学では、こうした自分自身の過去に関する記憶を「自伝的記憶」と呼びます。
また、「懐かしさ(ノスタルジア)」については、単に昔を恋しく思うだけでなく、自分自身の人生の連続性や人とのつながりを感じることと関係する研究もあります。
だから私たちは、古いアルバムを見ながら、写真だけを見ているのではないのかもしれません。
「私は、どこから来たのか」それを確かめている。
古いアルバムには、そんな役割もあるのではないでしょうか。

写真は多ければ多いほどいいのでしょうか

ここで、もう一つの疑問が生まれます。
大切な思い出なら、全部残しておいた方がいいのでしょうか?
アルバム10冊。
写真2,000枚。
それを300枚に整理したとします。
数字だけを見れば、1,700枚の写真を減らしたことになります。
では、思い出も1,700枚分、失われたのでしょうか?
私たちは、そうではないと思っています。
人間の記憶は、写真の枚数と同じように保存されているわけではありません。
たった一枚の写真から、何十年も忘れていた出来事を思い出すことがあります。
逆に、似た写真が何十枚あっても、一度も見返されないこともあります。
大切なのは、「何枚持っているか」より、「その写真から記憶へたどり着けるか」なのかもしれません。

アルバムの減量は、記憶の「引き算」ではない
写真整理というと、「写真を捨てる」、「アルバムを減らす」というイメージを持たれがちです。
でも、私たちは少し違う捉え方をしています。
例えば、10冊の重いアルバムが押し入れの奥にあり、10年間一度も開かれていない。
それを大切な写真だけに整理して、2冊のフォトブックにしたことで、リビングで何度も見るようになった。
この場合、写真の枚数は減っています。
でも、思い出に触れる時間は増えています。
だとすれば、これは本当に「減らした」と言えるのでしょうか。
写真整理とは、記憶そのものを引き算することではなく、記憶にたどり着くための入口を選び直すこと。
そんなふうにも考えられると思います。
本当に心地よい写真の量は、100枚でも1,000枚でもありません。
その人、その家族によって違います。
ただ一つ言えるとすれば、「持っている写真の量」より「見返せる写真の量」。
そこに、写真整理を考える一つのヒントがありそうです。

「もう、このアルバム捨てていいよ」と親に言われたら

そして、写真整理をしていると、もう一つ難しい問題が出てきます。
実家の片付けをしている時。
高齢のお母さんが、古いアルバムを見ながら言う。
「これ、もう全部捨てていいよ」、あなたなら、何と答えるでしょう。
「わかった」でしょうか。
それとも、「ダメだよ、もったいない!」でしょうか。
私たちなら、その前に一つだけ聞いてみたいと思います。
「この中で、一枚だけ残すなら、どの写真?」すると、「これかなぁ」と一枚を指さすかもしれません。
「どうして?」と聞く。
そこから、「これはお父さんと初めて旅行した時」、「この家に引っ越したばかりの頃」、「これはあなたが生まれた日」そんな話がはじまるかもしれません。
今まで単なる「古い写真」だった一枚に、家族の物語が戻ってきます。
写真整理を始める時、最初に必要なのは、ゴミ袋でも収納用品でもない。
家族との会話なのかもしれません。

そもそも、家族写真は誰のものなのだろう
ここまで考えると、さらに難しい問いにぶつかります。
家族の写真は、いったい誰のものなのでしょう。
「私のアルバムなんだから、私が捨ててもいいでしょう」親がそう言ったとします。
確かに、その通りです。
自分が買ったアルバム。
自分が撮った写真。
自分の家で何十年も保管してきたものです。
でも、その写真に写っている子どもから見ると、少し違います。
そこには、自分の知らない若い頃の母。
亡くなった祖父母。
幼い自分を抱いている父。
もう取り壊された実家。
自分では覚えていない家族の時間が残されています。
親にとっては、「自分の過去」でも、子どもにとっては、「自分のルーツ」なのです。

親の終活と、子どもの「残してほしい」がぶつかる時
もちろん、親にも理由があります。
「子どもに迷惑をかけたくない」、「こんな重いアルバムを何十冊も残したくない」、「自分が元気なうちに片付けておきたい」、どれもとても自然な気持ちです。
一方、子どもにも、「勝手に捨てないでほしい」、「自分の子どもにも見せたい」、
「お母さんがいなくなったら、もうこの写真の話を聞けない」という気持ちがあります。
これも自然です。
だから、どちらが正しいかを決めなくてもいいと思います。
問題は、「全部残す」か「全部捨てる」か、二択にしてしまわないことです。
そこには、もう一つの選択肢があります。
大切な写真を選んで、「残し方」を変えるという方法です。

写真整理とは「何を捨てるか」ではなく、「何を渡すか」
私たちはこれまで、たくさんのご家族のアルバムをお預かりしてきました。
その中で、強く感じることがあります。
写真整理で本当に難しいのは、何枚捨てるかを決めることではありません。
何を未来へ渡したいのかを決めることです。
1,000枚残したいご家族もあります。
100枚で十分だと思う方もいます。
ご両親の人生を一冊にまとめたい方もいます。
子ども一人につき一冊ずつ残したい方もいます。
答えは、ご家庭によって違います。
だから『おくってフォトブック』は、「できるだけたくさん残しましょう」とも、「できるだけ減らしましょう」とも考えていません。
大切にしたいのは、「あなたの家族は、何を残したいですか?」ということです。

写真は、減らした後から再び「生きはじめる」ことがある

重くて開くことのなかったアルバムが、コンパクトなフォトブックになる。
押し入れの奥から、リビングへ移る。
すると、「これ誰?」、「おばあちゃん、こんなに若かったの?」、「この旅行、覚えてる?」そんな会話が生まれることがあります。
写真の数は減っている。
けれど、写真を見る人は増えている。
写真について話す時間も増えている。
知らなかった家族の物語を知る人も増えている。
それなら写真整理は、「思い出の引き算」ではなく、思い出をもう一度、家族の中へ戻すことなのかもしれません。

私たちが残したいのは、「見返せる家族の歴史」です
写真は、不思議なものです。
一枚の小さな紙なのに、何十年という時間を連れてきます。
だから、簡単には捨てられない。
でも、すべてを抱え続けることも難しい。
その間にある答えを、一人ひとりのお客様と一緒に考える。
それも『おくってフォトブック』の役割だと思っています。
私たちが目指しているのは、写真をたくさん減らすことではありません。
大切な写真を選び、手に取って見返せるフォトブックと、次の世代へ残せる写真データという「2つのカタチ」にして、家族の記憶を、もう一度見返せる場所へ戻すこと。
写真整理は、思い出を減らすためにするものではない。
思い出を、これからも家族の中で生かすためにする。
私たちは、そう考えています。
もし、ご実家に何年も開いていない古いアルバムがあるなら。
いきなり「残す」「捨てる」を決めなくても構いません。
まず、一冊だけ開いてみてください。
そして、ご両親が元気なら、一緒にページをめくってみてください。
「この写真、覚えてる?」そのひと言からはじまった会話こそ、写真と一緒に、未来へ残しておきたいものなのかもしれません。

おくってフォトブックTOPページへ>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です