あるお客様の写真整理のプロセスをご紹介(4回連載/その④最終回)

目次
1.箱を開けた瞬間、涙がこぼれた理由

箱を開けた瞬間、思い出が一気にあふれ出しました。
昨年の12月中旬。
K様のご自宅に、一冊のフォトブックが届きました。
段ボールを開け、梱包材に包まれた包装紙をそっと外す。
その一連の動作のなかで、K様の目には、自然と涙があふれてきたそうです。
「思ったより、ずっしりしていました」それは重さではありません。
手に伝わってきたのは、これまでの時間、記憶、感情——すべてが詰まった“人生の重み”でした。
表紙には、家族それぞれの3枚の写真。
ページをめくるたびに、若かった頃の父と母、子ども時代の自分、家族で過ごした何気ない日常が、静かに、確かに、よみがえってきます。
「ただ整理しただけでは、きっと、こんな気持ちにはならなかったと思います」、K様はそう振り返ります。
写真を選び、向き合い、確認し、“残す”と決めた時間。
そのすべてが、この一冊に詰まっています。
10年前に亡くなったお母様に、このフォトブックを見せることはできません。
けれど、「父が喜んでくれる」「家族の歴史を、ちゃんとカタチにできた」そう思えたことで、K様の中にあった、ひとつの区切りが静かに結ばれました。
写真整理は、過去を振り返るためだけのものではありません。
「自分は、こんなふうに生きてきた」「たくさんの愛情を受け取ってきた」そう実感することで、これからの人生を、もう一度前向きに歩く力をくれます。
選びぬかれた瞬間は、今を生きる私たちだけのものではありません。
このフォトブックとデータが、次の世代にも愛と記憶の証として、永く大切に受け継がれますように…。
『おくってフォトブック』が目指しているのは、写真を「減らす」ことではありません。
思い出を、未来へ手渡せるカタチに整えること。
それが、写真整理の“終わり”であり、新しい物語の“はじまり”なのです。
——連載、完。

