お父さんが施設に入居することをきっかけに、「お父さんとお母さんの古いアルバムをまとめたい」とご依頼をいただいた50代の公務員の男性。
先日無事に人生のハイライトを凝縮した、4冊のダイジェストフォトブックの納品が完了ました。今回は、このお客様の写真整理に至った真の動機についてのエピソードをご紹介します。
「父が厳しい選出をくぐり抜けホームに入居することになり、母は実家で一人暮らし、二人とも物思いに耽るだろうから、どうせ耽るならキレイにまとめてやろうと思った…」、仲の良いご両親が離れ離れになってしまう、しかもこのご時世、新型コロナ感染予防で面会もままなりません。せめて手元に“思い出の扉を開くカギをたくさん持たせてやろう”と思われたそうです。
3冊のアルバムをご依頼人のお考えで4つのジャンルに分けて、新しく4冊のフォトブックのレイアウトが完了し、印刷・製本前のご確認にPDFをお送りすると、「もう爆ウケです」と連絡をいただきました。完成前にレイアウトをご両親に見せたそうで、恐ろしく大昔の出来事ひとつひとつを鮮明に思い出し、顔に生気がみなぎり、思い出話が呆れるほどとめどなく続いたそうです。ご依頼人やお姉さんが生まれるずっと前の世界。そこにもかけがえのない日々があったことを知り、今回「おくってフォトブック」にお願いして本当によかったと言っていただきました。
「父は愛犬ポコの写真を間違いなく抱きしめるだろう、言うことをまるで聞かなかった娘や息子よりポコですね。」と冗談を言っていたご依頼人ですが、今回メニューには無い、モノクロ写真のカラー化を希望され、ご指定のモノクロ写真9枚をカラー化しフォトブックを制作しました。仕上がりの感想は、ご依頼人もご両親も上々で、「激動の昭和を生き抜いた老いた人の心の活性には写真のカラー化が凄まじく効果的でした。」と嬉しい言葉をいただきました。
古い写真は、遠い思い出ならではのインスピレーションを与えてくれますが、カラー化することによって記憶に何らかの化学反応が起きて好循環をもたらすのかも知れません。
思い出は無くならず、ずっと胸に宿っていて、写真が触媒となってその時の映像を呼び覚まし、心と心をつないでくれる…。今回、ご両親を大切に想うご依頼人のリクエストから新しい写真の可能性を発見することができました。
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